借金が毎日の生活に重くのしかかり、気が晴れたことがないという方にとっては、少しでも借金を軽くする方法がないものかと考えておられることでしょう。
債務整理には、過払い金請求、任意整理、個人民事再生、自己破産の4つの方法がありました。
ここでは、過払い金請求を詳しくご説明したいと思います。
過払い金請求は、他の3つの方法と大きく異なる点があります。それは、あなたが抱えている負債(=借金)を減らしたり、免除してもらったりする方法とは違うという点です。
また、どなたでも、過払い金請求ができるわけでなく、そのうえ、時効もあります。詳しくは、次項以降で詳しくご説明しますね
1.過払い金請求ってどんなこと?
TVでも、ラジオでも、新聞の折り込みでも、「あなたも過払い金請求でお金が戻ってくるかも?」「私は、○○万円戻ってきました!」などという広告をよく見かけるようになりました。
過払い金請求とは、文字通り、払い過ぎていた利息を取り戻すということです。
しかし、どなたでも過払い金請求ができるわけではありません。では、どんな人が対象になるのでしょうか?
お金を借りると、当然利息が発生します。ただ、貸金業者がお金を貸す場合、その利息には上限があります(利息制限法)。簡単に言えば、お金を借りる人を保護する法律です。超過分については無効、あるいは契約自体が無効となりました。
ところが、出資法という法律でも、利息などの上限を決めており、上限を超える利息で契約した場合には、刑事罰が科せられていました。
利息制限法を超えても、出資法の上限利率を超えなければ、刑事罰に問われない範囲をグレーゾーン金利と言います。
グレーゾーン金利とは、利息制限法を超えた利息であることは間違いないので、利息を支払い過ぎていることに変わりがありません。現在は、グレーゾーンと呼ばれる上限金利は廃止されています。
2010年(平成22年)6月18日施行の貸金業法および出資法改正前に存在した利息制限法に定められた上限金利を超え、出資法に定められた上限金は超えていないグレーゾーン金利を返還請求するのが、過払い金請求となります。
2.過払い金請求のメリットとは?
あなたに過払い金があるか、あればどのぐらいになるのかを調べることから始めましょう。
過払い金請求は、他の債務整理と異なり、借金が減額されたり、免除されたりすることはありませんが、グレーゾーン金利の中で余分に支払っていたお金が返還されます。借入額が大きければ大きいほど、戻ってくるお金も大きくなる可能性が高いです。
つまり、支払う必要がないのに、貸金業者に支払っていた、支払い過ぎていたお金を取り戻すための手続きです。
すでに完済している債務について過払い金請求をする場合と、過払い金請求によって戻ってきたお金で債務を完済する場合については、過払い金請求をすることによる不利益はありません。具体的には、信用情報機関における金融事故扱い(=ブラックリストに載ること)にはなりません。
ただ、過払い金請求をした貸金業者では、二度と利用できなくなると紹介しているサイトもありますが、それは、貸金業者の判断によりますから、すべてに言えるわけではありません。借りられない場合もあるし、借りられる場合もあるということになります。
3.過払い請求のデメリットとは?
貸金業者からお金を借りていたすべての人が、過払い金請求をすることができるわけではありません。
また、過払い金請求には請求期限があります。つまり、時効があるということです。最後の取引後、つまり、完済後、10年を過ぎると過払い請求の権利を失います。
また、完済した債務や、返還された分で借金を完済できる場合は、金融事故扱いにはならず、ブラックリストに載ることもありませんが、返済中の過払い金請求で、返還されたお金で完済できない場合は、過払い金請求の手続きではなく、債務整理ということも考え併せて検討する必要があります。
その場合は、金融事故扱いになって、ブラックリストに載るというデメリットもあります。他の3つの方法の債務整理の場合、ブラックリストに載り、5~10年間、新たに借入することができなかったり、就ける職業に制限があったりします。
まとめ
TVなどで、大々的にCMを流しているので、過払い金請求という言葉を聞かれたことがない人はおられないでしょう。「余分に払ったお金が戻ってくる」という情報だけが独り歩きしているようですが実際には、いろいろな条件がありました。
たしかに、支払い過ぎていた利息分が取り戻せたら、いろいろな使い途がありそうです。
しかし、返済中で、返ってきたお金だけでは完済できない場合は、過払い金請求という形ではなく、他の債務整理の方法を取らざるを得ないというデメリットもありました。
どうするかは、専門家の方と、まず相談することから始めましょう。