アメリカの学生は、多額の奨学金を利用して大学に行っている人が多く、卒業後の奨学金返還がよく問題になっています。最近では、日本でも、奨学金の返還に苦しんでいる方が多いようです。
1.日本の奨学金制度について
日本の奨学金の多くは、日本学生支援機構による第1種、第2種の奨学金です。第1種は無利息、第2種は年利3%以下と、他のローンなどに比べるととても有利です。
また、卒業生によって返還された奨学金が、現役学生の奨学金の原資になっていますから、きちんと奨学金を返還して、奨学金制度がきちんと機能するようにしていく義務があります。
2.奨学金の返還が遅れた!延滞金は発生する?
奨学金といえども、負債です。極端な話をすれば、貸金業者から借りた借金と同じです。逆に奨学金は、金利が低く抑えられている分、返還しやすいはずです。「奨学金ぐらいいいんじゃ?」という甘い考えはありませんか?
当然、返還が遅れれば、延滞金は発生します。ただ、日割りではなく、半年に2.5%、年利5%がかかります。延滞時に返還すると、返還金は、まず利息部分に充当されますから、少額の返還だと、元金が減らないこともあります。
3.奨学金の返還が滞った!どんな不利益が起こる?
他の負債と同じことが起きます。1日でも返還が遅れれば延滞金が発生します。延滞が続けば、信用情報機関に事故履歴(=ブラックリスト)に載ります。
さらに、債権回収会社より督促状が届きます。それでも放置している場合、裁判所を通して法的措置が取られます。
奨学金の場合、いろいろな救済措置が用意されているので、「払えないかも?」と思った時点で放っておかないで、行動を起こしましょう。
4.奨学金の返還が滞った!ブラックリストに載る?
前項で書きましたように、奨学金の返還が滞れば、信用情報機関のブラックリストに載ります。信用情報機関=貸金業というイメージがあるかもしれませんが、日本学生支援機構も加盟していますから、延滞すれば、事故履歴に掲載されます。
奨学金も、消費者金融も同じ扱いで、奨学金だからと言って特別扱いはありません。
5.奨学金の返還が滞った!訴訟を起こされる可能性は?
延滞→督促状→債権回収会社による督促と続きます。これを放置すれば、強制執行されることになります。
支払督促というのは、訴訟の前段階です。もし、支払えるのに支払っていない場合は、一刻も早く返還しましょう。もし、支払えない状況なら、日本学生支援機構の救済措置を利用するなど、きちんと対処しましょう。
6.日本学生支援機構の救済制度① 返還期限猶予
日本学生支援機構では、救済制度を準備しています。支払えなくなりそうとなった時点で、相談してみましょう。放置はいけません!
返還期限を最長で10年猶予することができます。以下の場合に利用できます。
• けがや病気で仕事をすることを五社より止められた
• 失業中、生活保護受給中
• 産前産後、育休中
詳しいことは、日本学生支援機構←対象サイトへリンクのHPをご参照ください。
7.日本学生支援機構の救済制度② 減額返還
月々の返還額を減額すれば、支払いが可能な場合、返還額を減額するようにする手続きです。
ただし、返還額の総額は減額されません。
年1回申し出ると、12か月間の減額の延長ができます。ただし、最長15年間まで減額期間を延ばすことができます。
他に、第1種に限り、所得連動型返還方式というものもあり、課税対象額の9%を返還するという制度が、平成29年度に誕生しましたから、利用を検討されてもいいでしょう。
8.日本学生支援機構の救済制度③ 返還免除
返還を免除してもらうことですが、それ相応の理由がない場合は、認められません。また、奨学金を受給する際に、保証人、連帯保証人を決めているなら、返還免除は適用されません。
返還免除が認められるのは、
• 奨学金受給者の死亡
• 精神、肉体的障害で労働能力が失われた時
• もし、治癒の見込みがあれば、免除ではなく、猶予になります。
9.奨学金の負債も債務整理できる?
奨学金の申込時に、機関保証(日本国際教育支援協会が、奨学金の返還ができなくなった時に支払う)か、人的保証(保証人、連帯保証人を立てた場合)を選択しているはずです。
人的保証の場合、保証人、連帯保証人に返還を請求されます。もし、保証人、連帯保証人ともに弁済能力がない場合は、債務整理を検討しなければなりません。
機関保証の場合、あなたの返還が滞ったら、保証機関が代位弁済してくれますが、保証機関が代位弁済した金額を請求されます。
いずれにせよ、奨学金では、各種救済制度があるので、任意整理はできません。
まとめ
奨学金といえども、負債です。きちんと返済しなければなりません。「奨学金ぐらい」「奨学金なんて」と甘く見ていると大変なことになります。
本当に返還が苦しければ、救済制度の利用も考えてみましょう。